自己解決を促し導入直後の問い合わせを半減、紙から電子システム業務への移行を混乱なく推進

 

 

全世界で幅広く事業を展開する総合商社の双日は、DX推進の一環として2020年に文書電子化プロジェクトをスタート。そのプロジェクトの中で着手した伝票回付システムの導入にあたり、紙業務から電子システム業務への移行をスムーズに行うため、約2,000名のユーザーのシステム操作定着化支援をWalkMeに託した。ユーザーはWalkMeの存在を意識することなく新しいシステムの操作を習熟することができ、導入直後の混乱を避けられたおかげで運用側の負荷が軽減。システム操作に関する問い合わせを約50%も削減できた。

独り立ちするために横からサポートしてくれるWalkMeの思想は我々の部署の意義と非常にミートしている

並 真樹也氏 

総務・IT業務部 部長 ※取材当時

 
 

 

 

近代日本の発展の過程で商社として大きな役割を果たしてきたニチメン株式会社と日商岩井株式会社の両社が、2003年4月に持ち株会社を設立し、翌2004年4月に合併して誕生した双日株式会社。2030年の目指す姿として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げ、持続的な価値創造の実践に取り組む同社は、総合商社として「必要なモノ・サービスを必要なところに届ける」という使命を果たしつつ、マーケットニーズや社会課題に対する解決策を提案し、競争優位や成長を追求していくために、事業モデルや人材、業務プロセスの変革を図っている。

 

2021年4月に始動した「中期経営計画2023」の中でも、デジタルを活用した新たなビジネスモデルの創造や既存事業の変革による価値創造を掲げており、そのための重要な手段の一つに位置づけられるのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)だ。DXの最終責任者・実行者である社長を委員長に据え、全社DXの推進の進捗・効果検証結果を共有する委員会を設置したほか、社内外のデータやデジタル技術を利活用することでビジネスモデルや業務プロセスの変革を実践できる「デジタル人材」の育成を通じて、全社的なリテラシーの底上げにも取り組んでいる。

 

ユーザーの働き方に直結する組織として全社的なITインフラ整備や情報利活用の取り組み、情報セキュリティへの制度面・技術面の対応を担う総務・IT業務部では、2020年から文書電子化プロジェクトを推進。その一環として、紙で回章していた会計伝票の電子化に向けて伝票回付システムの導入を進めていた。想定されるユーザー数は約2,000名。紙業務から電子システム業務への移行に伴い、ユーザーに混乱を与えないためには、システム操作マニュアルを作り込み、ユーザー教育のための集合研修を行うのが一般的であるが、コロナ禍で思うようにそれが出来ない現状もあった。双日株式会社 総務・IT業務部 部長 並 真樹也氏は、「リモートワーク下でユーザーの生産性と業務価値の向上を支える環境を整備するとなると、いかに現場完結で物事を進められるかが重要になります。それが結果的に企業成長につながる働き方の実現につながっていきます」と語る。

 

しかし、対象ユーザーが多いと全員を網羅するのが難しく、導入前のトレーニングに時間がかかる上に、導入日が近づかないと新システムへの切り替えを意識してもらえない悩みもある。さらに、「いざ導入してもなかなか定着しない問題もあり、結果的に問い合わせが増え、サポートデスクは対応に追われることになります。単に運用側の負荷が増えるというだけでなく、教育コストやサポートコストも軽視できません」と、事業IT基盤統括課 課長 古賀 秀和氏は強調する。

 

 



双日株式会社 総務・IT業務部 部長 並 真樹也氏 (写真中央左)
双日株式会社 総務・IT業務部 業務システム企画課 課長 種村 吉晃氏(写真中央右)
双日株式会社 総務・IT業務部 事業IT基盤統括課 課長 古賀 秀和氏(写真右)
双日株式会社 総務・IT業務部 セキュリティ・デジタルBPR推進課 長澤 順樹氏(写真左)
※所属及び肩書きは取材当時のものです

 

 

伝票回付システムは、対象ユーザーを限定して導入した第1フェーズを終え、第2フェーズ、第3フェーズと対象範囲を拡大していくのに伴い、ユーザーの混乱が容易に想像できた。「メジャーなデジタルアダプションプラットフォームの中でも市場をリードする製品で、日本法人を有しているという意味でも導入後の運用サポートに安心感があり、スムーズな業務移行に向けてWalkMeの導入を決めました」と、セキュリティ・デジタルBPR推進課 長澤 順樹氏は当時を振り返る。

 

WalkMe導入の狙いは、大きく2つあった。1つは、ユーザー目線から、業務移行に伴うシステム切り替えの負荷を軽減すると共に、システム操作時間を短縮すること。もう1つは、システム運用者目線で、システム操作に関する問い合わせ件数を減らすこと。WalkMeを導入することでユーザーが視覚的にシステム操作を行えるようになれば、トレーニングを受けていないユーザーが操作マニュアルなしで画面に向かっても、迷うことなくすぐに使い始められるだろうと期待した。

 

業務システム企画課 課長 種村 吉晃氏は、「WalkMeのコンテンツ作成にあたっては、伝票回付システムの構築に関与しているメンバーを集め、自分たちが操作したときにつまずきそうなポイントを洗い出しました。WalkMeを紹介して間もない頃は、メンバーの一部から『WalkMeがなくても大丈夫では?』という意見も聞かれましたが、ユーザーサポートの最適化と、運用負担の軽減を説明して納得してもらいました。実際に触ってもらい、成功体験を積み重ねていくなかで次第にWalkMeに対する評価が上がっていった印象です。改めてユーザー目線に立つ良い機会にもなりました。」と、プロジェクト全体を振り返る。

 
 

 

 

同社では、伝票回付システムの画面左上に、WalkMeでいつでも呼び出せるガイダンスメニューを設置。メニューや入力項目の説明を必要に応じて吹き出しで表示してシステム操作をアシストするほか、ステップバイステップでのガイダンス機能でユーザーがタスクを正常に完了できるように導いている。入力ミスを防ぐため、伝票回付を行うユーザーの属性によってシステム側で項目値を自動入力する仕組みも実現した。「いちいち操作マニュアルを探し出して紙で閲覧していたような情報を、今開いている画面上で、ピンポイントで取得できるのは大きなメリットですね」と古賀氏。導入時の狙いの一つだったシステム操作時間の短縮化に役立っている。

 

実際に伝票回付システムが本稼働した後の驚きとして、WalkMeを実装した部分のシステム操作について、ユーザーからの問い合わせが発生しなかったことが挙げられる。おかげで、システムリリース直後の問い合わせを当初の想定より50%程度削減できた。並氏も、「ユーザー数の多いこの手のシステムの場合、リリース直後からサポートデスクの電話が鳴りやまなかったり、システム担当者があちこちの部門に呼ばれて常に席にいなかったり、対応に追われて右往左往するのが常です」と前置きした上で、顕著な違いをこう語る。

 

「想定していた以上に問い合わせが少なく、ほぼ席にいながら現状のリソースで穏やかに対応できていました。もちろん、すべてがWalkMeの効果かどうかは計り知れませんが、WalkMeを導入したことで、ユーザーが自己解決できる部分が増えた可能性は十分に考えられます。自己解決できる領域が増えるということは、社員全体のITリテラシーを底上げする一つのきっかけにもなります。問題解決を人に頼っているうちは、また同じ問題でつまずいたりするものですが、自己解決できる体験を重ねることで自然と習熟していくものです。そういう意味でも、ユーザー自身で完結できる環境を作れたのは良かったですね。」

 

 

「WalkMeで実装した機能を伝票回付システムの標準機能だと思って利用しているユーザーも少なくないようです」と長澤氏が語るように、ユーザーにWalkMeの存在を意識させることなく、システム操作をシームレスに補完できていることが伺える。

 
 

 

ユーザーから「WalkMeのおかげで助かっています」という声が寄せられる一方で、WalkMe導入プロジェクトに参画していた業務担当者からは、他のシステムへのWalkMeの実装について相談されることが増えたという。「システムに直接改修を加えると期間もコストもかかりますが、WalkMeなら簡単に実装できるので、システム操作周りの改善が容易に進むようになったと感じています」と長澤氏。

 

来年に向けて基幹システム刷新の計画が動き出している同社では、今後WalkMeの利用範囲が拡大していくことも予測される。「WalkMeなら、対象となるシステムに途中からでも実装できます。システム操作がボトルネックになっているようなシステムや、ユーザー数の多いシステムを中心に積極的に導入の検討を進め、ユーザーはもちろん、運用側の負荷を軽減していきたいと考えています」と語る並氏は、さらに総務・IT業務部が担う役割の視点からもWalkMeの貢献に期待を寄せている。

 

「当社が企業価値向上を目指すにあたり、社員のストレスを軽減し、新しい価値を創造することに集中できる環境を整えることも我々の重要なミッションです。WalkMeはユーザーの利用状況を分析できる機能があることも大きな強みです。定量的な効果を算出できるので、ある程度データが蓄積されてきたら、我々が取り組んでいるユーザーエクスペリエンス(UX)の改善が働き方改革にどう貢献しているかを検証し、経営層に報告する材料にもなりそうです。」

 

UX改善ツールや定着化・活用支援ツールとしての役割を超え、DX推進の一翼を担う重要なツールとして、WalkMeがもたらす可能性が拡がっている。

 

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